青い海、白い砂
広がる水平線、そして照りつける太陽
俺は車窓からの風景を眺めながら、の顔を思い浮かべている
「もうすぐ会えるね」
そう話したのは11時間ほど前のこと
それからほとんど眠れずに俺は朝をむかえ、そして電車に飛び乗った
夏休みを利用してはバイトを始めた
海辺の民宿を経営してるおばさんのところの手伝いに行く
そういわれて「へぇ」って簡単に思っていた5月
でも、夏休みに入った途端がはばたき市からいなくなって
俺は、こんなにも寂しい
だから・・・
「時間が空いたら珪くんもくれば?」
そう言われて・・・無い時間を強引に空けた
電話口で「行きたい」って話したら
は嬉しそうに「おいで」って言ってくれた
いつでも会える・・・いつもそばにいる
それが当然だったのに・・・たった10日でこんなにもが恋しい
鈍行の電車のスピードが、もどかしい
のんびりした車掌の手の動きを逐一見てしまう
近づいてくる海の香り、海の音
俺の頭の中に・・・笑顔の
「次は、海辺〜海辺〜」
アナウンスされる、のいる街
胸が・・・こんなにも高鳴ることを俺ははじめて知った
止まった電車から飛び出して・・・駆け下りる階段
そして・・・人の波をかき分けて、急ぐ改札
眩しい夏の日差しの中に・・・・俺の大好きな「」がいた
「珪くん!」
俺を見つけて大きく手を振る
少し日焼けした肌に、白い歯がこぼれる
俺は人がいるのもかまわずに
駆け寄って・・・このまま抱きしめてしまいそうだ
「いらっしゃいませ!」
「ん・・・」
手を伸ばし・・・頬に触れたい
でも、そんな衝動をこらえて平静を装う
「珪くん、私に会いたかったんでしょ?」
「別に・・・」
いたずら好きな丸い目が嬉しそうに俺を見る
俺は絶対に「会いたかった」なんて言わない
それでも、きっと・・・
改札まで走っている俺をは見つけているだろう
俺たちはおんぼろのバスに揺られ・・・岬の突端まで向かう
窓から入る潮風が心地いい
周り中、大自然
はばたき市とは全く違う・・・青い海の街
こんな場所なら・・・いつまでだって過ごしていたい
そんな気すらする
「ねえ、バイト忙しかったんじゃないの?」
「そんなことない・・・」
「でも大丈夫なのかな、マネージャーさんに怒られない?」
「ん・・・最近、俺・・・暇」
「え〜、珪くんが、暇なの?」
「ん、暇だから、仕方なくここにきてやった」
「あははは、仕方なくですって〜!」
は笑いながら両手で俺の頬をつねる
・・・本気で痛い
でも・・・この痛みが俺は嬉しい
「やめろ」
って言いながら・・・の手を握る
久しぶりに触れた手が・・・なんだか気恥ずかしい
「暇で仕方ないらしいから
それじゃ私のお仕事でも手伝ってもらおうかな」
「ん?どんなことしてるんだ?」
「ご飯の支度のお手伝いでしょ〜
お布団の上げ下ろしと〜
それからお部屋のお掃除も
人手はいくらあっても喜ぶから、珪くんも働かせようっと」
はニコニコと俺を眺めている
どんなに大変かわからないけど・・・
と一緒にいられるなら
そのくらいの仕事何のことはない・・・・と思う
「ん・・・、俺も働いてやる
でも・・・働くならそれなりに報酬ってもんが必要だ」
「うんうん、バイト料はちゃんともらえるよ
おばさんに交渉してあげるから心配しないでね」
「・・・金はいらない」
「え?じゃ、何が欲しいの?」
俺は握った手を・・・ぐっと引き
の耳元に口を寄せつぶやいた
「おまえがほしい・・・今すぐ」
みるみるうちに赤くなる頬に・・・
俺は・・そっとキスをする
夏が・・・俺たちを包んでいる
と一緒にいられる・・・夏の日
ずっと忘れられない・・・思い出の夏にしよう、な
END
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